
助成金(補助金)とは、国や都道府県・市区町村等の地方自治体、特定カテゴリの支援を目的とした民間団体・企業などが提供する支援金のことです。
株式会社や合同会社、個人事業主等の営利企業をはじめ、ボランティア活動をする個人や団体、研究機関、その他一般社団法人や財団法人等も支給の対象です。
助成金にはさまざまな種類があります。
例えば、業員の採用や育成、キャリアアップを支援するための「雇用関係助成金」、新規事業創設・既存ビジネスの経営改善を支援する「創業・事業支援助成金」、技術革新や新製品開発を促進するための「研究開発助成金」、地方創生(農業を推進したい等)や観光振興を目的とした「地域活性化助成金」などです。
冒頭でも触れた通り助成金の多くは「特定の事業」「特定の目的」に対して支給されるため、受給要件を満たすとともに、証明するための書類提出・審査が必要となります。
なお、一連の申込み・書類提出のことを法律用語で「申請」と呼びますので覚えておくと良いでしょう。
助成金の申請先(申込み先)は受けようとする助成金の内容によって異なります。
例えば、雇用関連(雇用や働き方改革支援等)であれば厚生労働省、中小企業に対する支援金や創業補助などのビジネス関連であれば経済産業省や地元の自治体などです。
申請期間が決められている助成金もありますので、自治体や民間団体、商工会議所等の公式サイトもしっかりとチェックし、情報を見逃さないようにしましょう。
申請先の例 | |
---|---|
環境の保全や省エネ関連助成等 | 環境省、各地方自治体、公益社団又は財団法人、NPO法人、社会福祉法人等 |
ビジネスに関する助成等 | 経済産業省、各地方自治体、商工会議所、日本政策金融公庫等 |
教育や研究に関する助成等 | 文部科学省、各地方自治体、公益社団又は財団法人等 |
農業や水産業、林業に関する助成等 | 農林水産省、各地方自治体、各事業に関連する組合等 |
雇用に関する助成等 | 厚生労働省、各地方自治体、各事業に関連する組合等 |
助成金と融資の大きな違いとしては「返済が必要かどうか」「審査される内容」「使途が限定されているかどうか」の3点が挙げられます。
助成金の多くは返済不要ですが、融資の場合は原則として民間企業が営利目的で提供しているため、手数料や利息を付けた上で返済する必要があります。※
※日本政策金融公庫や公共団体からの一部借入を除く
また、助成金は申請された助成金が適切に利用されるのかどうかが審査されます(特定の目的を対象に支給されるため)。
一方、融資は返済能力(信用)や事業の将来性が審査されるという点も大きな違いです。
さらに、助成金は基本的に使途が限定されておりますが、融資の場合は使途自由なものと限定されているもの両方が存在しています。
助成金 | 融資 | |
---|---|---|
返済の必要性 | 原則不要 | 原則必要 |
審査される内容 |
✓不正な申請でないか |
✓使途は適切か |
使途 | 限定されている | 限定・自由の両方あり |
必要書類の例 |
活動内容が分かるもの |
企業の実績が分かるもの |
掛かる時間 | 数か月 |
1日から1か月 |
提供元 |
公益性のある団体 |
公益団体又は営利目的企業 |
助成金のメリットは何と言っても「返済が不要」という点ですので、両者を選べるのであれば助成金から進めてゆくのが経済的には最もお得と言えます。
ただし、助成金は予算が限られているため審査が非常に厳しく、また交付が決定しても実際に振り込まれるまでに数か月掛かるケースもあります。
また、ボランティア活動や研究、エコ事業といった営利性が低いもの、農業や水産業・林業といったビジネスの中でも公益性があるものに関しては融資がミスマッチと判断され、審査に落ちる可能性があります。
事業内容や活動内容によっても、どちらを活用すべきかを判断する必要があるでしょう。
一昔前までは、ビジネスの資金調達方法と言えば銀行や貸金業者からの貸付(いわゆるプロパーローンやビジネスローン)が一般的でした。
現在ではクラウドファンディングやエンジェル投資といった一般個人投資家から寄付や投資を募る方法、ファクタリングやABL(債権担保融資)といったような売掛金や未収金等の資産を利用した資金調達方法もあります。(参考サイト:ファクタリング活用術)
助成金や融資だけでなくこれらの方法も視野に入れつつ、利用目的や財務状況に応じて上手に使い分けるようにしてください。
助成金は原則として返済不要です。
ほとんどの助成金や補助金が、返済を求められることはありません。
ただし、申請内容が誤っていた・不正受給が発覚した際は返還を求められることがあります。
融資は銀行や消費者金融が営利目的で提供しているため、所定の手数料や金利を支払う必要があります。
助成金の場合は、
等を添付して申請するという形が一般的です。
また、代表者に関する書類(身分証明書や住民票等)も必要となる可能性があります。
融資の場合は信用や返済の可否をチェックするため、売上やキャッシュフローを確認するための書類(財務諸表類)を提出する形を採ります。
助成金・融資共に個人事業主でも利用可能です。
助成金の場合、例えば雇用関連のもの、特定事業を対象に交付されるもの等は個人事業主であっても支給の対象となります。
助成金の多くは予算に応じて支給されているため、申請期間が定められています。
狙っている助成金がある場合はしっかりとチェックし、見逃さないようにしましょう。
融資には申込み期間等はなく、いつでも利用することができます。
支給元のホームページ等で手引きや記載例が確認できますので、ご自身でも作成できるケースがほとんどです。
財務諸表類や記載内容が複雑等、専門的な知識が必要な場合は税理士や行政書士等に相談すると良いでしょう。